Happy Holiday.

f:id:Izam:20201224225517j:plain



クリスマス。

大好きな彼がいつも活動している遠い異国から私のために帰ってきてくれた。


ちょっと早く着いちゃったな

待ち合わせ場所のお店のショーウィンドウを鏡にして、前髪を整えた。うん、今日可愛いかも。



「それ、俺のために整えてくれてるの?」

『!?』



やべ、見られてた。

まぁいずみくんに可愛いって思われたいから、なんて口が裂けても言えないけど



『あ!いずみくん!こんにちは!!』

「こんにちはって、話も逸らされたし



まぁいいや、そう言いつつ少し笑ってた。

笑顔すごく可愛いのになそう思ってる事も言わない。



『そういえば私今日何も聞いてないんだけどどこ行くの?』

「それは着いてからのお楽しみ。ほら行くよぉ」



手を差し出された。その手にそっと私の手を重ねる。なんかお姫さまみたいだな

いずみくんといるとちょっとしたことも全部が幸せに感じるなぁと思いながら、2人で歩き出した。





そこからふたりでショッピングをしたり、夜景が綺麗なところでディナーをしたり……

私には贅沢すぎるような時間を過ごした。

どこに行ってもスマートにエスコートをしてくれるいずみくん、本当に王子さまみたいで……



……さてと、次行こっか」

『?まだあるの?』

「ふふ、もちろん。」




連れてこられた所は、ゴールドのイルミネーションが施された並木道。

見渡す限りキラキラで心までキラキラしそう。



『なにここ!すごい!!めちゃくちゃキラキラだ!!!』

あみが好きそうと思って。喜んでもらえてよかった。」



ほんとにキラキラしててずっと見てられる

…………そんな目を輝かせている私を見て微笑むいずみくんは私には見えてないんだけど。



「あみ、そこ立ってて。」

『?わかった』



言われるがまま指さされた場所に立ってみた。

……あれ、何も起こらない。



『いずみくん、何も起こーー』



そう言いながら振り返った瞬間、イルミネーションの色が青に変わった。私のいる方からいずみくんのいる方に。

私が放心状態でいるとふいに変装用のメガネをとって、



「メリークリスマス、あみ。」

『いずみくん、これって?』

「ここのイルミネーション、この時間になると今みたいに色が変わるんだって。」

…………いずみくん』

「なに?」



…………ありがとう!!』



涙ぐみながら精一杯感謝の気持ちを伝えた。

これ以上の言葉は、なんだか出てこなかった。



「…ここさ、」

『うん?』

「あみの方から俺の方にって、俺たちの関係性表してるみたいじゃない?」

というと?』

俺はあみから大好きって言葉とか支えてもらったりとか、色々なものを貰ってて、というかいつもありがとねぇ」

……なに急に、やめてよ』

「なんで?ふと思ったから言ってみただけなんだけどぉ」

『そういうところだから、いずみくん。………大好き』

「知ってる。俺も大好きだよ、あみ。」



そう言っていずみくんは私の手を取り跪いた。



「俺のお姫さま。ずっと俺だけを見ててよねぇ」

『っ、当たり前じゃんっ』



……手の甲にキス。それは敬愛を表す行為だってどこかで見た。どうしよう、幸せすぎて泣きそう…



いずみくんは私のために尽くしてくれる、と言ったらなんか違うかもしれないけど

私のためにたくさんの事を考えてくれたり私が喜ぶことをしてくれる。

サンタさんってほんとにいたんだなんて。


こんなに幸せなクリスマスを過したのは初めてかもしれない。この幸せがいつまで続くだろうか。そんなことを考えることもあるけれど、彼はずっと私に幸せをくれるだろう。



貰ってばかりいるのは私の方なのに……

恩返し、いつかしたいな。

いずみくんが驚くようなこと考えなくちゃ。




そう幸せを噛み締めながら、彼と手を繋いでキラキラと輝く並木道を歩いて帰った。