I'm Fond of You.
『いずみくん、あのね、』
そう言い私が紡ぎ出した言葉に、彼は一瞬固まった。
海外でモデルとして活躍している私の彼、瀬名泉くん。日本ではKnightsっていうグループでアイドルもやっていてかなりの人気者だ。
海外を拠点としていたけど、今はアイドルの活動にも力を入れるためにほとんど日本での生活に変わっていて、私も日本で生活をしているから遠距離だった時より一緒にいれて今はとても充実してる。
当たり前の日常を過ごしていた。
そんなある日、私は彼にこう話しかける。
『いずみくんあのね、今少し考えてることがあって。聞いてもらってもいいかな。』
「なぁに?急に改まって。」
伝えるか伝えないか、悩んで悩んで、でもちゃんと私の気持ちを伝えたいとその結論に至った。
『あのね、私……お花の勉強をするために海外に行こうと思ってるんだ』
空気が凍りついたのが私にも分かった。
そして数秒間の沈黙。
何から話そう、どうしよう。
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「そう、」
『……うん。やっと一緒にいれる時間が増えて、毎日こうやっておはようとか、おやすみとか、言えるようになったのになんでって思ったよね、ごめん。』
「…………」
『でも…!海外で頑張って、夢を叶えたいずみくんがかっこよくて、羨ましくて。本当に素敵で。』
「……うん」
『私も、こうやって輝きたいなって思ったの。』
「…、何泣いてんの。」
いつの間にかボロボロと涙を流していた。
なかなか会えない日々とか、寂しかった気持ちとか。またそんな日が続くと思うと涙が止まらなかった。
『…うそ、っ、泣く、つもり…、』
「泣かなくていいから、話聞かせて?」
『っ、自分で決めたことなのに、自分でやるって、やってやろうって思ったことなのに、いずみくんに会えなくなるって考えたら、なんか、涙、、っ、』
「、うん」
『でも、私もいずみくんみたいに、なりたくて、いずみくんに近づきたくて、、でも、どうしたら、』
「…………あみ」
そう優しく名前を呼んで、いずみくんは私の涙を拭った。
「頑張ることとか、新しいこと始めるとか、怖い気持ちもわかるし俺も経験してきた。もちろんあみと会えなくなるのは嫌だけど。」
『……』
「それでもあみが、頑張るって言うなら俺は止めないし、全力で応援する。」
『……うん、』
「俺の背中を押してくれたのも、それを支えてくれたのもあみだよ?応援しない訳ない。」
『うん、』
「だから行っておいで。『夢に向かって頑張る俺が好き』なんでしょ?」
『……いずみくん、』
「ん?」
『……大好き、本当にありがとう』
「俺もだよ。……いつまでも待ってるから。」
背中を押してくれる人も、支えてくれる人も、
今までの私にはいなかった。
でも"いずみくん"という大切で大好きな人と出逢って、こうやって背中を押してくれたり、支えてくれたり。笑い合うそんな日常が当たり前になっていた。
これから私には沢山の試練が待っているのかもしれないけれど、私だったら乗り越えられる。
だって大好きな人が待っているから。
「いつまでも待ってるから。」
その言葉を胸に今日も私は夢に向かって頑張っていくんだ。
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